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Project-Story 03

Takumi Gillen

ギレン 巧

商品本部 生鮮食品部 水産部
2015年入社

グローバル規模でのコラボレーションを成し遂げ
日本初の「トニーローマシリーズ」を販売

アメリカ人の父を持ち、バイリンガルとしてウォルマートに採用されたギレン。
日本で働きたいという希望を叶え、現在は西友商品本部の「ビジネストランスフォーメーション」というポストに就いている。
その一方でオリジナリティあふれる商品開発にも携わり、
アメリカの人気レストラン「Tony Roma’s(トニーローマ)」との日本初となるコラボレーション商品を世に送り出している。

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インターナショナルアカデミーでのファーストステップ

アメリカで「バーベキューリブの代名詞」と呼ばれるほど愛されているバーベキューリブレストランの「Tony Roma’s(トニーローマ)」。ウォルマート・ジャパンはトニーローマと2年間の独占販売契約を締結し、2018年10月から西友でトニーローマのバーベキューリブをはじめとした冷凍ポーク商品4アイテム、トニーローマBBQソースを使った冷凍シーフード商品2アイテム、BBQソース3アイテムの販売を開始した。冷凍ポークと冷凍シーフードアイテムはトニーローマのレシピをもとに国内生産したものとなっており、なかでも「トーキョーBBQソース」という味付けは日本での発売を記念してつくられたもの。これは世界でも日本でだけ販売されている。これらのアイテムをリードしたのが、商品本部生鮮食品部水産部のギレン巧だ。沖縄県出身の、アメリカ人と日本人のハーフだ。
「父がアメリカ人だったこともあり、子どもの頃は日本とアメリカを行き来することが多く、物心がついた頃には日本語も英語も当たり前のように話していました。とはいえ、生活の中心は沖縄だったこともあり、高校卒業後は一度グローバルな環境に身を置いてみたいと思い、「アメリカのバージニア工科大学でマーケティングを専攻していましたが、いざ進路を決めるタイミングでは、日本語と英語を活かせるグローバル企業でありながら、住み慣れた日本で働けること、早い段階で希望するキャリアに就けることを希望し、いくつかの企業と接触しました。その結果、ウォルマートがそれらの意向をすべて受け入れてくれたのです」
このギレンの要望を叶える入口となったのが、ウォルマートの「インターナショナルアカデミー」という集中プログラム。ギレンは入社後1年間、マーチャンダイジングコースに進んだ。ウォルマートグループ全体のなかでも年間にわずか十数名のみ(新入社員、既存社員含む)が選出されるという狭き門だが、この集中プログラムを修了することで、新入社員であっても数年分の経験を積んだものとみなされ、キャリアをスタートさせることができる。一刻も早くバイヤーの道を歩みたいと思っていたギレンにとって、まさに渡りに船のプログラムだった。
「インターナショナルアカデミーはアメリカのアーカンソー州にある本社で実施され、最初の3カ月はウォルマートのカルチャーを徹底的に学びました。そして、残りの9カ月でバイヤーに必要なバイイングやプランニング、ファイナンシャルといった領域を学ぶとともに、店舗での実地研修を通して集中的に幅広い分野の知識とノウハウを効率的に学びました。もちろん、1年にわたる集中プログラムなのでときには疲労感を覚えることもありましたが、それ以上に日々の学びや出会いが刺激的で、喜びを感じることのほうが多かったですね」

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「ビジネストランスフォーメーション」として業務改善に取り組む

インターナショナルアカデミーを修了したギレンは、 2016 年にウォルマート・ジ ャパンに配属となり、西友 の水産商品のバイヤーに着任。
そして、バイヤ ーとして2年のキャリア積んだギレンはその後、新たにできたばかりの「ビジネストランスフォー メーション」という部署に着任した。
「新たな部署を創設するにあたってバイヤーのなかから 選 出 す る こ と に な り 、私 に 白 羽 の 矢 が 立 ち ま し た 。鮮 度 や価格、品質において、競合に負けない水産商品をお客 さまに提供することをミッションとし、数値分析をもとに 店舗の品揃えを最適化したり、店舗オペレーションの見 直 し を 行 っ た り し て い ま す 。店 舗 の 厨 房 で 働 く ア ソ シ エ イトの作業効率の向上などもその一部。たとえば一部の 店舗では丸魚で供給されていた鮮魚を骨取り済みの状 態で納品してもらうようにし、魚をさばくプロセスを簡略 化することで誰でも厨房に立てるような仕組みにして みました。今後はこの結果をさらに数値分析し、厨房でさ ばいたほうがいいのか、骨取り済みの状態で納品しても らったほうがいいのかを検討していきます」

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突如舞い込んだアメリカの人気レストランとの商品開発依頼

日々忙しく働くギレンのもとに、トニーローマシリーズの開発依頼が舞い込んできたのは2018年4月のことだった。
「メキシコ・ウォルマートで一世を風靡したトニーローマシリーズを、商品本部の畜産部と連携して日本でも展開してみないかという話がきたのです。アメリカのトニーローマとの頻繁なやりとりが想定されていたことも、私に声がかかった要因のひとつでした。私としては初めてグローバルな商品開発に関われるチャンスだったので、迷うことなく参加を表明しました」
ちなみに、数値分析に携わってきたギレンにとって、トニーローマのラインナップは日本でヒットする可能性を十分に秘めたものだったという。
「日々の生活で非常に忙しい『ワーキングママ』にとって、短時間で簡単に調理ができ、おいしい商品は確実に重宝されると考えました。また、トニーローマは東京でも六本木などにレストランを構えていますが、小売用の商品は存在しません。知る人ぞ知る名店とのコラボ商品を日本で初めて発売するという点にも、話題性と魅力があると感じていました」
実際にプロジェクトを開始してからは、畜産部のバイヤーと二人三脚で業務に取り組み、常にアメリカのトニーローマ側とコミュニケーションを図る日々が続いた。そして、その過程の中で冷凍ポークと冷凍シーフードアイテムについては国内生産することを決定、ギレンたちがサプライヤーの選定や商品開発を一手に担うこととなった。
「プロジェクトを立ち上げる段階で、プレスリリースと発売を18年10月に行うことが決まっていたので、わずか6カ月間で商品を完成させる必要がありました。そうした状況下において、私たちが当社とサプライヤー、トニーローマの間のコミュニケーションの中心となり、全員の基準を満たす商品づくりを進めていきました」

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国境を越えたコラボレーションの難しさとおもしろさ

限られた時間の中、高品質の商品を生み出すのはまさに至難の業だった。ギレンたちは何度となく壁にぶつかり、その都度、関係各所と連携を図り、直面する課題を一つひとつ乗り越えていった。たとえば、サプライヤーは早い段階で決まったものの、トニーローマのクオリティを満たすバーベキューソースづくりには、相応の時間を要した。
「トニーローマからはレシピを提供してもらっていましたが、食材や気候の違いなども影響し、同じレシピでソースをつくってもなかなか本来の味を再現することができませんでした。そのため、トニーローマのチェックでもなかなかOKが出ず、何度も配合の微調整を繰り返しました。私自身も工場まで何度も足を運び、メーカーと議論しながら亜検討を続けました。ソースに漬け込む時間をレシピよりもかなり長く取ったりといった試行錯誤の結果、最終的にトニーローマならではの旨味のあるBBQソースを再現することができました。そういった苦労があったので、トニーローマのトップシェフに承認をいただいたときは、飛び上がるほどうれしかったです。すぐに関係者に連絡を取り、その喜びを分かち合いました」 商品開発者としてのギレンの仕事はそれだけにとどまらない。他部門と連携を図り、トニーローマシリーズの販売戦略についても練り上げていっている。
「日本でのトニーローマの知名度は、まだまだ高いとは言えません。スムーズに商品が販売され、今後ひとりでも多くのお客様のお手元に届くよう、社内の関係部門(店舗、商品開発、マーケティング、補充など)とも綿密にコミュケーションを取っています。プレスリリースの内容はもちろん、店舗での販促方法、特設ウェブサイトの内容などにも気を配り、トニーローマシリーズの魅力がより広まるように努めています」
苦労の末にギレンたちが生み出したトニーローマシリーズは現在、順調に売上を伸ばしている。
「アメリカ人なら誰もが知るアメリカの本場の味を、日本で唯一、届けることができているのはグローバルリテーラーとして大変誇らしいことだと思っています。これからもお客さまにトニーローマをはじめ、新しい商品を積極的に提供していきたいと思います」

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